2009年02月28日

「田酒」というお酒

職場のある町に、全国の日本酒を揃えた料理屋さんがある。
僕は行ったことはないのだが、年に何回か、「利き酒を楽しむ会」が催される。
5千円でいろんな日本酒が味わえるのだが、趣向が面白い。瓶の銘柄に紙で目隠しをして、その回ごとの美味しかったお酒をみんなで順位付けしていくのだ。壁には模造紙のような紙に過去何回かの順位表が貼られている。

行った人から聞いた話では、毎回、なぜか青森市の「田酒」というお酒が有名な銘柄をおさえて上位に来る、とのこと。どんな味だろう、いつか飲んでみたい、と思いながら、半ば忘れかけていた。

一昨年の秋、連休を利用して東京に住んでいる父のところへ遊びに行った。父も休みで、晩秋の日光にでも行ってみるか、ということになった。東武の快速(特急はもう指定がいっぱいだった)で日光を往復し、浅草まで帰ってきたときにはもう辺りは真っ暗になっていた。

父はアパートに帰って食事をしたかったらしいのだが、僕はお腹が減っていたので、しばらく食事できるところを探して駅前を歩いていた。そんな時、ふとある居酒屋の店先の看板に「田酒」の文字を見つけた。父に理由を話して、じゃあそこで飲んで帰るか、ということになった。

実はほんの10日後に父は倒れ、帰らぬ人となっている。
今考えると、もしそこであの看板を見つけなかったら、父とああいう形で最後に酒を酌み交わすこともなかったのではないか。そう思うと、運命のめぐり合わせの不思議さを感じずにはいられない。
posted by ぜごん at 23:19| 広島 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 記憶の断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック