あまり気が進まなかったが、でもせっかく来るんだから、と尾道でも案内してあげようと思い立ったのである。
尾道駅で待ち合わせて、そこから僕の車で千光寺公園に上がり、その後、しまなみ海道経由で生口島に行って瀬戸田の平山美術館を見る、というお決まりのコース。
今回は帰りに向島で降り、「男たちの大和」のロケセットにも行ってみた。
向島の「マキシム」でコーヒータイムを取って、再び尾道に戻って来たのが午後5時前。
あたりはすっかり薄暗くなっていた。
「対岸の造船所は夜になるとクレーンが6色にライトアップするんだよ。」と言って、ハンドルを海岸のほうに向けた。
そのまま車で海沿いを走ってみたが、まだライトアップは始まっていなかった。
海辺の道を抜け、その先にある尾道駅でおろしてあげた。
国道の手前の信号で車を停めたとたん、前方のクレーンが淡い光を放ち始めた。
とっさに携帯電話で彼女の番号にかけてみた。
「もう改札入った?」
「いいえ、まだだけど。」
「駅から出て、海のほう見て!」
まもなく、歓声が電話の向こうから聞こえてきた。
間に合って良かった。

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その後、特に何もありませんでした。チャンチャン。
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